明らかに押していた…。
ただ“あと一本”が出なかった…。
3月23日。
この日は「全国軟式野球大会」の県大会出場を懸けた浜松ブロック大会。
支部予選を1位で通過した三ヶ日中学は、先の県大会ベスト4の“強豪”積志中学と対戦する。
積志中は、先の大きな大会であるSBS杯の浜松予選において延長戦で敗れた相手。
その後三ヶ日中は厳しい冬を迎え、積志中は県大会ベスト4に輝いた。
もはや“因縁の相手”といっても過言ではないかもしれない。
試合は両投手による“投げ合い”となった。
スコアボードには0が並ぶ。
最初のチャンスは三ヶ日中。

4回裏、ワンアウトから意表を突くセーフティーバントを決めたユウキが盗塁を決め、両チーム通して“初”のスコアリングポジションに進む。
その後、1、3塁までいったものの、あと一本が出ず無得点…。

さらに5回裏、サトシのヒットなどでチャンスをつくるも、この回も無得点…。
6回表の積志中の攻撃。
ワンアウトからのツーベースを足がかりに“初めて”ランナーを3塁まで進められるが守り切り無失点。
試合は0対0のまま7回裏へ。

「サヨナラ」に向けて円陣が組まれる。
ワンアウトから、サトシがこの日2本目となるヒットで出塁すると内野ゴロの間に2塁へ。
“一打サヨナラ”!

バッターボックスには“キャプテン”タカアキ!
最も信頼できるバッターに打順が回ってきた!
高まる“サヨナラ”ムード!
だが勝負してもらえなかった…。
「敬遠!」
試合は0対0のまま、特別ルールの延長戦へと入った。
ノーアウト満塁から始まる“特別ルール”はくじ引きみたいなモノ。
運に大きく左右される。
そこにあるのはただの“運”のみ。
“力の差”は存在しない。
積志中に4点奪われ、その裏3点を返したものの、再び積志中に敗れた…。
チームは厳しい練習に耐え、大きく飛躍した。
全く歯が立たなかった、同じ支部の“強豪”に勝ち、支部チャンピオンになれた。
だが、今大会の勝ち上がりは全てが“1点差”。
そこに大きな“差”はない。
厳しい練習をしてきたのは三ヶ日中だけではない、ということ。
どこのチームも一生懸命練習している。
全ては“夏”勝つために。
県大会出場を目指した今大会だったが、またもや積志中の壁に跳ね返された。
あと1点、あと1点が足りなかった。
チーム力はあがった。
だがまだ足りない。
あと1点分、いや勝つためには2点分足りないのだ。
それを補うためにやれることはただひとつ。
“練習”しかない。
それ以外に強くなる術をしらない。
バカみたいに練習することで、チーム力が跳ねあがった経験を持つ彼らは知っている。
強くなるためには“練習しかない”ということを。
全ては“夏”勝つため。
さらなる飛躍に期待したい。