1月8日。
この日は町内の少年野球5チームによる「マラソン大会&サッカー大会」。
マラソン大会は学年ごとに走り、順位によってポイントが加算される。
フレンズは2年続けて総合優勝。今年は3連覇が懸かっている。
(昨年の結果は「第27話/努力は報われる!」参照)
フレンズの強さの秘密は“練習量”と聞いている。
普段の練習前に必ずグランドを10周走る。それも(基本)全力で…。
真偽は定かではないが、この“全力”グランド10周を取り入れているチームがほとんどないらしい。
当然、アップなのでジョギング程度に行っているチームがほとんどだろうが、フレンズは“全力”で走る。
下級生はなかなかついていけないが、上級生にもなると呼吸がすぐに整い、何食わぬ顔をしてキャッチボールを始めるわけから、「大したものだ」と感心するのだが。
しかし、この日は不安があった。
昨年優勝したユウが股関節を痛めた。
そしてコウタは12月中旬頃から足の裏付近の痛み(成長痛)に襲われている。それでも毎日走っていたようだが、どうしても痛い時は走るのをやめたりしていたらしい。
マラソン大会は3年生の部からスタート。
フレンズの子たちが“何人”入賞するのかを楽しみにしていたが、入賞したのはひとりのみ。
「あれ!?調子が悪いのかな!?」
何かがおかしい…。
続いて4年生の部が始まったのだが、同じような状況が続く。
「あれ!?先頭、違うチームの子だぞ!?」
上位独占を目論んでいた学年だけに違和感が残る…。
5年生もほぼ同様の結果…。
もちろん、結果が悪いわけではないが、思うようにポイントが稼げない…。
そして6年生。
昨年はユウとコウタが1位、2位になり総合優勝に大きく貢献した。
期待は膨らむが、怪我の具合も気になる…。

無難にスタート!
先頭集団はガンガンに飛ばしていたが、距離は3km。最後までもつとは考えにくい。三ヶ日ならではの起伏もある。
焦る必要はない。
どれだけ時間が経っただろうか。
岡の上に先頭が見えた。
「あれ!?フレンズじゃないぞ!?」
スタート時に先頭グループを形成していた集団が、ほぼそのままの状態でやってきた。
「全然ダメだ…」
ユウとコウヘイ、そしてコウタが入賞したものの、上位はすべて他チームに奪われた。
特に三ヶ日パワーズの子たちの活躍が目立った。
フレンズは他チームよりも走っている。
にも関わらず、この結果は全くいただけない。
あまりにも気になったので、パワーズの親御さんに声をかけた。
「今年、凄いですね」
「フレンズさんに負けないようにウチはグランドを毎回30周走るようにしたんです」
「!」
理由は簡単だった。
もっと努力したチームがいたからだった。
一気に晴れやかな気持ちになった。
やはり“努力は報われる”のだ!
頑張っているのはフレンズだけではない。
どこのチームも同様に、いやそれ以上に頑張っているのだ。
そんなチームが同じ町内にあった。
それが嬉しかった。
頑張って結果が出た子はきっと気が付いたはず。
“努力は報われる”ということに。
マラソン大会は総合ポイントでジュニアファイターズに破れ準優勝。残念ながら3連覇はならなかった。
続けて「サッカー大会」が行われた。
聞けばサッカー大会は今回が17回目。
しかし、フレンズの優勝は2回しかないらしい。
他のチームは練習にサッカーを取り入れていたらしいが、フレンズは大会続きだったため、サッカーの練習は一度もなし。
前日は練習が休みだったため、全くサッカーの練習をすることなく、本番に挑むことになっていた。
しかし、サッカーであれ勝ちたいコウタは、みんなに集合をかけ“自主錬”をすることを指示。
といってもただの遊びの延長。来たい子だけがきて、みんなでサッカーをするだけのことなのだが、何人くらい集まったのか気になったのでちょこっと様子を見に行った。
行ってビックリ!
かなりの人数がいるではないか!
3年生までのほとんどの子たちが一緒にサッカーをしていた。
「ホントにチームワークがいいな」
と“ほっこり”とした気持ちになった。
さて、サッカー大会。
初戦(2回戦)は、コウヘイが挙げたゴールを守り切り1対0で勝ち上がると、決勝戦では最多優勝記録を持つ三ヶ日ジャガーズと対戦。0対0からPK戦へ突入すると、GKのサトシが相手のPKを3本止め、フレンズが優勝!
初戦も決勝戦も明らかに相手の方が上手いのだが、“なぜか”勝つ事ができた。
内容は全くない。あったのは結果のみ。そもそもこの日行ったのはサッカー大会。本分である野球ではない。
それでも結果を出したことは重要なのだ。
“勝ち癖”
勝負事ではこれも必要。
だから勝てて良かったのだ。

みんな良く頑張りました!でも他の人も頑張っていることを忘れずに!