7月3日。
この日は、“強豪”浜北スモールジャイアンツとの練習試合。
JA杯で県大会出場を決めた“文字通り”強豪チーム。
※赤佐ヤングスが昨年のJA杯の県大会で優勝したため、浜北支部からは赤佐ヤングスと浜北スモールジャイアンツの2チームが県大会へ出場。
「よくも、フレンズのようなチームと練習試合をしてくれるものだ」などと思いながら会場へと向かった。
差がありすぎて、お互い練習にならないような気もしていたが、やるからには“何か”を持って帰りたい。
この日の会場は、天竜川河川敷グランド。
7月10日から行われる「遠州大会」で使用されるグランドで、フレンズもこの大会に参加する。
その点でいけば、大会前に会場の雰囲気をつかめるわけで、それが“唯一”の収穫になる可能性は充分にある。
会場に着くと、事態はさらに深刻…。
サトシがバスに“酔った”…。
気持ちが悪くて、試合前のアップに全く参加できない…。
バスの後ろを走る親の車に手を振り続けていたため、“酔った”ようだ…。
(一体何をやってんだか…)
とはいえ、これも収穫!
「サトシは試合前のバスの中で後ろを向いてはいけない!」
この日は3試合を予定。
レギュラー戦、ジュニア戦、レギュラー戦の順番で3試合を行うことになった。
1試合目のレギュラー戦は“酔っ払い”サトシが先発。

回避も考えられたが、サトシ“志願”のマウンド。マウンドに上がれば“いつも通り”の“エース”のサトシだ。
しかしながら先制点を許す。
浜北スモールジャイアンツだけではなく、強豪チームは必ず“足”を使ってくる。
フレンズにとって、キャッチャーは“まだ”アキレス腱。強肩のコウヘイがやってはいるが、まだ始めたばかり。日に日に上達しているが、“もうちょっと”だけ時間が欲しい。
とはいえ、これも収穫!
「速い球を投げるだけでダメ!捕ってから送球までを早くしなくては!」
浜北スモールジャイアンツも“エース”が先発。
フォアボールなどでランナーを出すが、なんと“衝撃”の牽制アウト×2(もちろん1イニングで)!
流石に強豪チームのエース。牽制の種類が多い。
まんまと引っかかりまくる…。
(これも収穫か!?)

ここにきてピッチングが安定してきた感があるサトシ。体調が悪くても、しっかりとゲームをつくれるようになった。
結局、1試合目のレギュラー戦は、2対9の大差で敗戦。
毎回、スコアリングポジションまでランナーを進めるが、相手の好守に阻まれ、なかなか得点が奪えなかった。
そんな中でも、サトシは2回、4回、6回を“三者凡退”で仕留めた。
その間のイニング(上位打線から始まる攻撃)は全てで失点したが、原因はことごとくエラー。
サトシが強豪チーム相手でも結構通用することはわかったことは収穫だが、圧倒的に守備力に差があることもわかった。
残された時間は少ない。
より実践的な守備練習の必要性を感じた。
2試合目はジュニア戦。
たぶんこれが“初”の5年生以下で行う試合となる。
だが、今年の5年生は実戦経験が多い。
キョウタロウはレギュラーチームの“4番”だし、キョウスケ(肘痛完治まであと少しか…)は4年生の時からレギュラーチームで活躍しているし、ヒロキ、タツヤ、コウセイはレギュラーチームの試合に出ている。しかもほとんどが“抜群”の運動能力を持っている。昨年の6年生もそうだったが、学校で運動神経の良い子が“ほとんど”野球をやっている。コウタの学年は、運動神経の良い子はサッカーチームに所属。これが“谷間世代”と言われる所以だ。
となれば、ジュニアチームへの期待は相当高い。

ピッチャーは“当然”キョウタロウ!豪快なフォームから投げ込まれる速球が最大の持ち味。
が、エラーも重なり、いきなりの4失点…。
その後、無失点だっただけに、悔やまれる立ち上がりとなったが、明らかに“合格点”のピッチング!
それにしても今年の5年生は“声”が出ない。
通り一遍の「お~い」という声は聞こえるが、これは“言わされている”声。自らが“言っている”声ではない。要は声が“死んでいる”のだ。
スモールジャイアンツの選手たちは「ココ打ってこいやー!」や「バッチここまで飛ばしてみろ!」など全てが“生きた”声。
もちろん、懸命に投げるキョウタロウに声を掛けることは全くないため、回を追うごとにキョウタロウはマウンドで孤立…。それでも“ひとり”で相手と戦っていた。
他の5年生はという試合を間近で見るだけの“観客”と化し、としまいには自分たちの攻撃中にバットを持ってベンチ裏にたむろし、楽しげにおしゃべりしだす始末…。
唯一、この日久しぶりにマスクをかぶったキョウスケだけが、キョウタロウを励まし、試合に出てくれている後輩たちに声を掛けてた。
一体、6年生の“どこ”を見ていたんだろうか…。
悲しくなってきた…。
強豪チームは必ず引き継がれていくモノがあるはず。
それはチームの雰囲気を生み出す“生きた声”だ!
この日のスモールジャイアンツしかり、こないだ対戦した三ヶ日ジュニアファイターズしかり…。
強豪チームですら、毎年毎年“凄い子”が集まるわけではないはず。それでも強豪チームになるのは、強豪の雰囲気を生み出す“生きた声”があるからだ。
今年のフレンズは決して“諦めない”。
どんなにリードを許しても“生きた声”でチームの雰囲気を生み出し、結果、劇的で、感動的な試合を数々見せてくれている。この諦めない姿勢こそ、フレンズの新しい伝統として引き継がれて欲しいもの。
実際、そのチームの一員としてプレーしている5年生たちも感動的なプレーをしていたはず。
しかし、自分たちが“最上級生”になったチームでは、そんなプレーは全くない。
ついさっき終わったばかりの試合では、なんとか出塁しようとセーフティーバントを試みたではないか。ボールに喰らいつき、粘った末フォアボールを選んだではないか。ランナーの進塁を防ごうと外野手はすぐにボールを内野に返していたではないか。一生懸命応援していたでないか!
ベンチ外では6年生がその試合を“じっ”と見ていた。
何も言わずに“じっ”と見ていた。
前日の「ティーボール大会」には駆けつけ、“いつもと変わらぬ”生きた声でチームを鼓舞し続けた6年生が何も言わずに“じっ”と見ていた。
自分たちと“間逆”の試合をする5年生たちを見てどう思ったのだろうか…。
ピッチャーを孤独にさせ、チームワークを全く無視した5年生たちを見てどう思ったのだろうか…。
試合はキョウタロウの好投むなしく1対4で敗戦。

試合を見届け、コウタがキャッチボール開始。どうやら3試合目はコウタが先発。相手が強すぎるだけに非常に不安だが、“折れない気持ち”だけは見せて欲しい。
それともうひとつ。
5年生にフレンズの野球を見せてやってくれ!
まもなく3試合目が始まる。