続く2回戦は三ヶ日ジャガーズとの対戦。
同じ三ヶ日のチームということもあって勝手知れたる相手。
先月行った練習試合では圧倒的にコールド勝ち。
「勝てるんじゃないか」ムードが全体的に漂う。
ジャガーズ先行でプレイボール。
フレンズの先発はコウヘイ。

いつもコントロールが不安なのだが、フォアボールでランナーを出すものの2三振を奪い初回を無得点に抑える。その後もフォアボールでランナーを出すものの、圧倒的な球威でヒットを打たせない。
ジャガーズはエースが先発。
先月練習試合で戦ったのと同じピッチャー。
練習試合の際は、球威はそこそこあるものの制球に苦しみ自滅したピッチャーだ。
約1ヶ月経ったこの日、“別人”になっていた。
制球力は比べ物にならないほど良くなり、球威は格段に増していた。
初回フレンズは3塁までランナーを進めたものの無得点。
その後、両投手が好投し3回が終わって0対0。
4番キョウタロウ、サトシとタイムリーが出てフレンズが2点先制。その後コウタの“ツーランスクイズ”も決まり4点を奪うことに成功。

ナイスバント!
続く5回にはエイスケにタイムリーが飛び出し5-0。ここにきて圧勝ムード。

ナイスバッティング!※この写真の打球はファールですが、バットにボールが当たった瞬間だったので…。
コウヘイは“規定”の5回を終えて無失点、しかもノーヒットに抑える一番のナイスピッチング!
6回から交代予定だったが、ノーヒットに抑えている訳で代えずらい。
コウヘイ続投。
最初のバッターにいきなりポテンヒットを打たれると、“いつもの”コウヘイが顔を出す。
ストライクが全く入らない。
この回、2つの押し出しもあり3点を奪われ5対3。
まだ2点差ある。
最終回もコウヘイが投げる。
ピッチャーの連投が禁止された今年、核となるピッチャーがもうひとり欲しい。
チームが勝ち上がるためにはコウヘイの成長が不可欠。期待の続投だ。
しかし最終回もストライクが入らない。
スクイズで1点差に詰め寄られると、暴投が飛び出し同点にされる。
ここでたまらずピッチャー交代。
コウタとユウはそれぞれ「オレの出番か!?」と思ったようだが、マウンドに上がったのは“4年生”のコウスケ。
コウスケはこのチームのショートを守る守備の要。
4年生に要のポジションを守らせてしまう6年生は情けないが、この状態でコウスケがマウンドに上がるということは、6年生が全く信用されていないということ。
がんばれ6年生!
しかしコウスケでも悪い意流れをとめられず逆転を許してしまう。
なおもランナー2、3塁。
盛り上がる相手ベンチ。
マウンドは孤独。
そのマウンドにいるのは“4年生”。
一生懸命勇気付けようと周りが大きな声を出すが、もはや声は届かない。コウスケの目は虚ろ。
敗色ムードが漂う。
「タイムお願いします!」
選手の一人がタイムをとった。
コウタだ!
ピッチャーから一番遠くの“レフト”にいるコウタが三塁審判に駆け寄り、タイムをかけた。
コウスケの元へと走ると何やら言葉をかけ励ます。
コウスケの顔に精気が戻る。
コウスケは後続をキッチリと抑える。
7回表が終わって5対6でジャガーズが1点をリード。
フレンズに残された攻撃は最終回裏の1イニングのみ。
先頭バッターは1番のユウ。
相手ベンチは全員が立ち上がり力の限りの応援。
フレンズの声がかき消される。
しかしユウは冷静だった。
ユウは昨年からチームのレギュラー。悔しさも喜びも一学年上の先輩と共に味わってきた。さまざまな経験を積んでいる。
今ユウがやることはただひとつ。
出塁すること。
しつこくボールに食らい突くと

カキーン!
センター前ヒット!
チームとして最高のランナーが出た。
すかさず盗塁。
ノーアウトランナー2塁。
続くコウスケは送りバント。
ワンアウトランナー3塁。
バッターは3番のエイスケ。
現在チームの打点王。
するとエイスケは期待に答えタイムリーヒット!
同点!
今度はフレンズベンチが盛り上がる。
4番のキョウタロウも続き、
ワンアウト、ランナー2、3塁。
サヨナラのチャンス!
バッターボックスには前の試合でホームランとツーベース、この試合でタイムリーを打っているサトシ。
相手ベンチは敬遠を指示。
ワンアウト満塁。
バッターはコウヘイ。

思い切りブッ叩いた打球はサード真正面へ!
エイスケがホームへ突っ込む!
打球が強く、サードが少し弾く。
慌ててボールを握りバックホーム。
クロスプレー。
「セーフ!!」
主審の手が横に広がりサヨナラ勝ち!

勝つには勝ったがチーム状態は良くない…。
能力が高い選手が揃った昨年のチームのような戦い方。全てが個人任せ。このチームは能力の高い5年生、4年生におんぶに抱っこの状態。個人能力で戦うのであれば6年生よりも5年生、4年生のほうが上。“個”に頼っている限りチーム力は安定しない。「去年は強かったけど今年は弱い」の繰り返し。いいチームになる訳がない。
今年の6年生はそもそも“谷間”。個人能力的には昨年の6年生、今の5年生よりも明らかに劣る。
今年は今年の“色”が欲しい。
この日の夜、6年生の子供たちと一緒に食事へと出掛けた。
この際、子供たちにひとつお願いをした。
「試合が始まる前、ピンチになった時、空を見ろ」
試合が始まる前にみんなで空を見るのは心をひとつにするため。
ピンチになった時、空を見るのは心を切り替えるため。
子供たちは軽くうなずくと、すぐさま戯れだした。
(まっ、言ってもわかんないか…)
半分以上は諦め加減…。
やるのは子供たち。
いくら親が力んでもしょうがない…。
しかし“何か”をして欲しかった。
プレー以外のそんなことがチームをひとつにする。
このチームは“個”で戦うチームではない。
“チーム”で戦うチームだ!
チームで戦うチームには勝敗に関わらず“感動”がある。
相手を思いやる気持ちが芽生え、相手を思いやり、一生懸命プレーすることで人々に感動を与える。
それをフレンズの新たな伝統にして欲しい。
勝つことはもちろん大事。
しかしそれに固執しすぎても人間的な成長はない。
もっと大事なモノを、この野球という素晴しいスポーツを通じて学んで欲しいと切に願う。
しかし、子供たちは「キャッキャ、キャッキャ」言いながらじゃれあっている…。
親の想いはいつでも片想い…。
次戦は5月5日。
引佐ドリームジュニアと県大会の切符を懸けて戦う。
引佐とはジュニア大会、今年になっての練習試合と、新チームになって2回ほど戦っているが、どちらも圧倒的に惨敗…。
完全に引佐が“格上”。フレンズは2ランク下。
一体どのような戦いになるのか…。