第22話/一からの出直せ!

11月28日。

この日は新人戦の初戦「引佐ドリームジュニア」との対戦。
“コウタ世代”になってはじめての公式戦だ。

コウタは何日も前からこの日をとても楽しみにしていた。
この日に向けて毎日練習もがんばっていた。

しかし気になることがあった。

「2回戦は細江だって。今度は絶対勝ちたい!」

とコウタが言っていた言葉だ。

「初戦は引佐でしょ?細江のことは引佐に勝ってからじゃない?」

コウタに聞くと

「引佐には勝てるよ!だって練習試合で勝ったから!」

1回勝ったからってまた勝てるとは限らない。そもそも勝ったのは練習試合だ。公式戦とは全くの別物。
自分の経験上、こういう気持ちで試合に挑んでいい結果が出ることはない。

“一戦必勝!”

大事なことが欠けているような気がしていた。


AM9:00 

プレイボール!

フレンズの攻撃から試合がはじまった。

(この時からいつもと違う雰囲気。緊張しすぎているのか、それとも気負っているのか…)

引佐の先発ピッチャーは右の本格派で、投球フォームが実にしなやか。コントロールも良さそうで、フォアボールはあまり期待できそうもない。

序盤は両チームともピッチャーが好投し、得点が入るどころかランナーすら出せない。

第22話/一からの出直せ!
この日は「5番ファースト」のコウタ。チームの雰囲気がおかしいのに気が付いたのか、懸命にみんなに声を掛けるが、コウタ自身も試合に入り込めていない…

試合は突然動いた。

ツーアウトながらランナーを3塁に進めた引佐。
次のバッターの打球は“ぼてぼて”の内野ゴロ。
「捕ってファースト、チェンジ」のはずが、捕ってバックホーム!

痛恨のフィルダースチョイス!

引佐が先制した。

これは個人的なミスではなくチームのミス。
みんなで声を出して、ゴロを捕ったらどうするかをしっかり確認していれば防げた失点。
「どうせ自分の所にはこないだろう」と思って守っているからこういうミスが生まれる。
気持ちが試合に入っていれば、各々がもっと声を掛け合っていたはずだ。
チーム全体が集中していない。

このミスにより好投していたエースサトシの集中も切れた。

当然流れは一気に引佐に傾く。
ミスに乗じて得点を重ねていく。

第22話/一からの出直せ!
この試合でキャプテン、さらに“4番サード”のコウヘイ。序盤は守備でいいところを見せていたが、やはり集中しきれていなかった…


結果は0-6の完封負け。しかもヒットは1本のみ。完全なる負け。
目の前の試合に集中できなかった代償は“1回戦敗退”。
全くいい所がなかった。

目一杯やって負けるのなら得るものもあるのだろうが、この日の負け方からは何も得られない。

“一からの出直し”

常に相手に敬意を払い、最大限で取り組むことができないのであればスポーツをする資格はない。

本人たちはこの敗戦をどう感じて、どう思っているのだろうか…



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