先日嫁さんとの会話の中で
「コウタ2学期学級委員じゃん。それで…」
(えっ!?学級委員なの?)
知らなかったが“思わず”相槌を打ってしまった…
(知らない、というと怒られそうなので…)
学級委員長は始業式の日に決めるらしい。
2学期の学級委員長は2学期の始業式に決めたようだが、コウタは怪我の影響で始業式当日は欠席していた。なのに、コウタが学級委員長らしい。
(欠席裁判で決まったのか?)
自分の頃は、なんか大変そうな“学級委員長”はできるだけ避けたい係だった。狙い目は、大して仕事がない“保健係”か“黒板係”。だから、係を決める時に休んでる子がいれば、その子に学級委員長を押し付ける“欠席裁判”がよくあった。
しかしコウタのクラスでは“学級委員長”は花形の係だそうだ。係を決める時は学級委員長に人気が集中し、投票だとか、じゃんけんだとかで決めているらしい。
そういえば、コウタは1学期も立候補したらしいが、他の子がやりたそうだったから譲った、っていう話を聞いていたことを思い出した。
(なおさら、なぜ当日学校を休んだコウタが学級委員長になったんだ?)
疑問が膨らみすぎたため、理由を嫁さんに聞いてみた。
「なんでコウタが学級委員長になったの?」
「今回はみんな立候補しなかったんだって。コウタさんがやりたい、って言ってましたって誰かが言ったら、みんなコウタさんでいい、って言ってくれたみたい」
これにはビックリした。確かにコウタのクラスメイトは良い子ばかり。でも、年間で3人しかなれない学級委員長。今までの事を考えれば、当然やりたい人が複数いたはずだ。その子たち全てが我慢して、コウタに譲ったというのだ。コウタは半ば諦めていたに違いない。係を決める日にその場にいないわけだから。しかし、クラスメイトがコウタを選んでくれた。
実は先生から「2学期は企画係をやって欲しい」(言っちゃって大丈夫かな?)と水面下で打診されていたらしい。2学期は一大イベントである“運動会”があり、企画係が中心となって運営する。2学期の企画係は学級委員長と並ぶ“花形”係だ。悪い話ではない。
しかしコウタはその申し出を断っていた。
理由は、
「水曜日は野球の自主練があるから」
だそうだ。
企画係の活動はほとんどが水曜日の放課後。この時間には野球チームの自主練習がある。“自主錬”というからには、行きたい人だけ行けばいいのだが、コウタは自主錬にも休まず参加していた。学校の“面白そうな”行事より、野球の練習をしたかったのだ。
しかしまだ野球はできない。
どうせ野球ができないんだったら企画係を受けておけば良かったのかもしれない…
少し涼しくなり始めたこの日の夕方、コウタは片手で素振りをはじめた。

9月15日にはいよいよ左腕のギブスを外しての検査です。せめてギブスのサイズが小さくなってくれればいいのですが…
つづく