“負けられない”戦い。

会場に着くと、すぐさま準備に追われる。
なにしろ6人しかいない。
よって先輩も後輩も関係ない。
みんなで会場に道具を運び込む。
バタバタすることで、不安を忘れることができたらいいな、と思っていた。

試合を待つ間、みんな、努めて明るく振る舞っていた。
「プレッシャーなんか感じていませんよ」と言わんばかりに、明るく振る舞っていた。

ただそれは、誰が見ても“カラ”元気…。
その緊張感はこっちにまで伝わってきていた。

体調不良のエースは、みんなと一緒にアップをするものの、
明らかに顔色が悪かった。
みんなに心配を掛けまいと、懸命に笑顔をつくるその姿を見て、胸が締め付けられる思いがした。


試合開始時刻が迫り、選手たちがコートに出てきた。
大平中学校の黒いユニフォームが、異様に強く見える。

聞くところによると、大平中は“初”の東海大会出場を目指しているらしい。
どうしても勝ちたいのは三ヶ日中だけではない。
大平中も“どうしても”勝ちたいのだ。


大平中のサーブで試合が始まった。

1点目から激しいラリーの応酬。
お互いとにかく“拾う”。
長いラリーの末、先制点を挙げたのは大平中だった。

たった1点の話。
だが、得意のラリーで得点を失った三ヶ日中は、ガックリ肩を落とす。
一方の大平中は、飛び跳ねて喜びを表現する。

明らかに今までの試合とは雰囲気が違っていた。

その後は大平中の一方的なペース。
三ヶ日中は凡ミスを繰り返し、唯一の得点源であるエースが決めきれない。
みるみる得点が離されていく。

肩を落とす三ヶ日中。
飛び跳ねる大平中。

得点はあっという間に4対14。
大平中に10点のリードを許した。

あまりのミスの多さに、応援席のいたる所からため息がもれる。
みんなと同じ気持ちだったが、我々ができることは「応援すること」のみ。

ある時、先生は我々にこう言った。
「応援で5点は違います」と。

応援とは、選手の背中を押すこと。
孤独じゃない、と分からせること。

選手が下を向いた時こそ、応援しなければならない。
そのためにここにいるのだ。

できることはただひとつ。
選手の背中を押すために“応援”すること。
必死で応援した。

その応援が届いたのか、少しずつ粘れるようになってきた。
徐々に点差が詰まり出す。

得点は14対15。
1点差まで詰め寄った。

「いける!」

そう思った瞬間、サーブミス…。

流れを掴みきることができなかった…。

その後は相手のサーブに崩されまくり、22対25で第一セットを落とした…。




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