第37話/ほんの少し前進!

4月10日。

三ヶ日大会を翌週に控え、この日は「三ヶ日パワーズ」と練習試合。

勝敗よりも、この2週間で続いた“ミスの連鎖”と、失ったチームとしての“雰囲気”を取り戻せるかがポイントとなる試合だ。

だが、試合開始前のキャッチボールの最中に問題発生!!

チームの大黒柱“エース”のサトシが肘痛を訴えた。

第37話/ほんの少し前進!
この直後に肘痛発生!当然この日は登板回避!

急遽コウヘイが投球練習開始。

今までは足を上げた際、後ろに反り返り、結果左肩が極端に下がりコントロールが定まらなかったが、ブルペンを見る限り修正されていた。コントロールもだいぶ落ち着いた印象を受けた。

が、ここで私は仕事へ…。

昼過ぎに戻ると、マウンドにはコウタが!

もちろん試合は2試合目。
試合は4回まで進んでいた。

4回を三者凡退で切り抜け、自身最長イニングとなる5回へ。

ポンポンとツーアウトをとった所でエラーが!

平凡なサードゴロを三塁手のキョウタロウが微妙な送球。中途半端な位置でバウンドしたボールをファーストを守るサトシが後逸。

ランナーは2塁へ。

ベンチからは上級生のサトシ(6年生)へ怒号が飛ぶ。

中途半端な送球をしたキョウタロウ(5年生)は申し訳なさそうに帽子をとる。

チームから“声”が消えた!

次の打者への初球、コウタの投げたボールがこれまた微妙なバウンドをし、キャッチャーのエイスケが後逸。ランナーは3塁へ。

ここ2週間、散々見たシチュエーションだ。

この状態からピッチャーはストライクが入らなくなり、無駄にランナーを溜めたところでエラー。ミスの連鎖で大量失点を繰り返していた。当然チームの雰囲気は最悪。どこからも声が聞こえなくなっていた。

(またか!?)

心の中でつぶやく自分がいる。

しかしこの日は“違った”!

マウンドのコウタはゆっくりとロージンを触ると、後ろを振り返り、人差し指と小指を突き出し、その手を高く掲げると大きな声で

「ツーアウト!ボール取ったらファースト!!」

と叫んだ!

そうだ!今はツーアウト。ボールを取ったらファーストだ。こんな時こそやるべきことをしっかり確認することが大事。浮き足立つ必要は全くない。

チーム全体に“声”が戻った!

レギュラーキャッチャーのキョウスケの怪我以降、チームは下降の一途を辿っていた。サトシの好投をフイにする試合が続いていた。「キョウスケがいれば…」といっても、未だ右肘がしっかり曲がらない状況。いくら嘆いてもキョウスケが突然投げられるようになるわけではない。今はこのチームで“前へ”進むしかない。変わりにキャッチャーをやっているエイスケは懸命にキャッチャーに取り組み、“前へ”向いて歩みだしている。が、チームとしては“どこか”で言い訳を用意していた。知らず知らずのうちに、負けたことを“誰か”のせいにしていたのだ。チームとして“前”を向かなければチームの成長はない。

ミスが出たときも同じ。

ミスを嘆いてもやり直しはできない。
その状態を受け入れ、“前へ”進むしかないのだ。

野球が上手くもないコウタがキャプテンをやらせてもらってるのはこういうところのはず。
チームが下を向いたときに、上を向かせる力があるからこそ、やれせてもらえているキャプテンなのだ。

結局コウタは5回(今までで最長イニング)を投げユウと交代。4奪三振で課題のフォアボールは“わずか”2つ、失点0という結果だった。

この日の練習試合は2試合を行い、コウヘイが7回、コウタが5回、ユウが2回と、控えのピッチャー3人で投げきり、失点は1。

サトシが投げないと試合にならないチームだったが、この試合を見る限り、ほんの少しではあるが成長したかもしれない。

さあ、いよいよ来週からは「三ヶ日大会」が開幕!

勝っても負けでも今日のような“雰囲気”で試合に挑んでもらいたい!

ガンバレ!三ヶ日フレンズ!!

第37話/ほんの少し前進!
バッティングはというと…この日“も”ノーヒット…。だが鋭い当たりが何本かあったらしい…。
それでも「スイングが鋭くなってきた」という評価を受けたので、結果はもう少し先にとっておこう。

第37話/ほんの少し前進!
新入団員も入りこの日から新たなスタート。常に前を向いて突き進め!!



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