第30話/もうひとりのピッチャー

2月27日。

この日は練習試合。

最終検査を翌日に控えたコウタはこの日も試合に出られない。

初戦は“エース”サトシが一安打完封。フォアボールもひとつだけと安定したピッチングで、エースとしての風格が出てきた。

2試合目はコウヘイが先発。
球威はサトシと双璧だが、問題はとにかくコントロール。良い時は良いのだが、ダメな時はトコトンダメ。
さてさてこの日は…

今年から学童野球のルールが変わり、同日の試合のピッチャーの連投が一切禁止されることになった。学童野球は、勝てば一日2試合。1試合目に一球でも投げたピッチャーは2試合目に投げられないということになる。勝ち上がるためには2番手ピッチャーが非常に重要となるわけだ。

この日のコウヘイはダメな日だった。

ストライクが入ればみんなが振り遅れるのだが、とにかくストライクが入らない。それも明らかなボール。3回持たずに自滅した。

試合は打線が爆発し大勝ではあったが、不安がふたつ残った。

ひとつは2番手ピッチャー。
現在、エースのサトシ以外に3人がピッチャーの練習をしているが、どれもピリッとこない。サトシとの差は相当にある。潜在能力が最も高いコウヘイを中心に2番手ピッチャーを育成していくことになるのだが、果たしてどこまで成長できるか。
とはいえ、他チームも苦しんでいる所だとは思うが…

もうひとつはコウタ。
この日も打線が爆発したように、この1ヶ月間で、みんな急激に伸びた。スイングはシャープに、守備は安定してきている。しかしコウタはこの1ヶ月の間、全く練習できていない。親としては置いてかれているような気がして焦るのだが、こればかりは焦ってもしょうがない。が、焦る…

2月28日。

聖隷にて術後の最終検査。
ヘッドスライディングはまだ禁止らしいが、「OK」が出た。

実はコウタは3番手ピッチャーとして練習いている。
コウヘイと2番手ピッチャーを争うというより、みんなで1試合投げるという方がこのチームには合っている気がする。チームワークで勝ち上がるチームになってほしい。

とにかく、最上級生が責任持ってピッチャーをできるようになるのが一番なのだが…

第30話/もうひとりのピッチャー


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