第84話/何も感じない“敗戦”!

ワカさん

2011年12月19日 20:59

12月11日。

この日は、5年生以下で行われる「浜名湖支部新人戦」の準決勝・決勝が行われる。
フレンズは順当に準決勝に進出し、決勝戦を掛けて鷲津と対戦することになっている。

一方の6年生は、浜松球場で行われる「中日ドラゴンズ野球教室」へ参加。
町内5チームの6年生がフレンズバスに乗り合わせて会場へと向かうことになっている。

ワタシは新人戦の配車と審判をする予定になっていたので、下級生を乗せて新人戦の会場である三ヶ日西小学校へと向かった。

第1試合では細江と三ヶ日ジュニアファイターズが対戦していた。
ジュニアファイターズは先に行われた「ジュニア県大会」で見事準優勝。
この大会でも優勝候補の筆頭と目されていた。

しかし結果は、特別ルールの末、細江が勝利!

一足早く細江が決勝進出を決めた。

フレンズはというと、2点を先制したもののミスから逆転を許すと、そのまま試合終了。
決勝進出はならなかった…。

そもそも新チームは期待値が高い。
町内の新人戦では“県大会準優勝”のジュニアファイターズを破って優勝しているし、内野陣はファーストを除いて昨年からのレギュラーがずらっと並ぶ。さらに来年消滅する隣のチームからもの凄くいいピッチャーが入ってきた。

選手はもちろん、首脳陣も、父兄も優勝を狙っていたのだが…。

エラーを始め、誤審など、さまざまな問題があった試合でもあったが、一番の問題は“心”にあるように思う。

今年のフレンズは“ほぼ”毎試合、エラーがあった。
それもタイムリーエラー…。
そんな時は必ず
「どんまい、どんまい!切り替えて行こう!」
と声を掛け合っていた。

それが5年生以下で行われたこの日の試合ではそんな声は皆無…。
ミスをした子はどんどんとヘコみ、集中力を失っていった…。

最終回の攻撃の時もそう。
追いつかなきゃいけないのにベンチが全く盛り上がらない…。
あんなに応援してくれた4年生からも声が消えていた…。

“当然”の敗戦。

そう思えた。

「自分たちは強い」
と慢心しているようにしか見えなかった…。

昨年の新人戦は初戦で引佐ドリームジュニアと対戦し、1安打完封負け。
当然エラーは続出したが、声はあったし、監督よりも前にコウタは“タイム”を取った。
チームの原型は垣間見えていたのだ。

たぶん、新チームは“淡々”と大人の野球をしていくチームなのだろう。
常に相手を受けて立ち、チーム状態が良ければ強いチームであっても勝利し、状態が悪ければ格下に負けることもある。
そんなチームのような気がする。

果たしてそれでいいのだろうか…。

それで子供たちは成長するのだろうか…。

重要なのは勝敗ではない。人としての成長だ。

やはり、このままでは良くない気がする。

今年の6年生は、三ヶ日大会で金谷ファイターズにコールド負けをしたことを契機に、試合の度に6年生だけでミーティングを行った。ミーティングといっても「あれができなかったが、これはできた」程度の内容だが、試合が終わる度に下級生が帰るのを待って“子供たち”だけでミーティングを行った。

大事な大会の前には決起集会を行った。
決起集会と言っても、近所のラーメン屋に集まり、ラーメンを食べる程度だが、これには必ずお母さんたちを招いた。
食事後、一人ひとりが立って、お母さんに向かって“目標”を大きな声で述べた。
当然、目標は各々に考えさせた。

これらを繰り返していくうちに、全く活躍できなかった6年生が活躍できるようになっていった。

もちろん、ミーティングと決起集会が直接効果があったとは思わない。
だが、「あいつのミスで負けた」と思いズルズル引きずるより、試合後すぐに「エラーしたのが良くなかった。でもヒットが打てた」という話をエラーした当人が言うことで、ズルズル引きずることがなくなった上、お互いの事が理解できるようになっていったように思う。
決起集会では、普段野球の話をすることがない“お母さん”に対して目標を言うことで、“達成したい”という想いが強くなったような気がしたし、お手伝いをしてくれるお母さんたちも、より積極的に協力してくれるようになったような気がする。

もちろん、初動は我々が背中を“軽く”押した。
だが、実践したのは子供たち。

こんなことを積み重ねて6年生は成長できたと思うし、“絶対諦めない”という実に泥臭いチームカラーが出来上がったのだと思う。

チーム結成当初、「いらない」と言われた6年生だが、最後には「欠かせない」存在にみんながなっていた。

チームカラーは最上級生が創り出すモノだ。

それに呼応し、下級生や応援する父兄、さらには首脳陣までもがそのカラーに染まる。

当然カラーは毎年変わる。
今年と来年が同じである必要な全くない。

それでも、それでもだ。

今のままで良いはずはない、と強く思う。


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