10月16日。
この日は、三ヶ日ジャガーズとの練習試合。
三ヶ日ジャガーズとは、先の「交通安全大会」の決勝戦で対戦した相手。
“二番手投手対決”ということもあり、打力で勝るフレンズが勝利した訳だが、その前の対戦は「JA共済杯」の支部予選の準々決勝。
その際には、相手のエースをなかなか打ち崩せず、“逆転サヨナラ勝ち”というギリギリの戦いだった。
となれば、この日は“待望”のエース対決となる。
フレンズのマウンドは“当然”エースのサトシ。
豪快なピッチングで相手を全く寄せ付けない。
結果は“1安打”完封!
県大会から帰ってきてからのサトシは“凄み”が増している。
強豪との練習試合、公式戦など3試合に登板して、許した得点はわずかに“1”。
まともなヒットも、この日打たれた“1本”のみ。
しかし、その“凄い”ピッチングの反面、欠点が“如実”に見え始めた。
その欠点とは“心”。
マウンド上での“苛立ち”は誰の目にも明らか。
マウンドを蹴り上げ、何度も腕を振る。
自分が打てないことが理由という人もいるが、本当の原因は“周囲”にあるように思う。
サトシの“凄さ”を目の当たりにすると、誰しも“何か”を言いたくなる。
「ああすればもっと良くなる」、「こういう事をすればもっと球が速くなる」…。
大会関係者や、他チームの指導者、そして父兄(自分ですが…)…。
みんなが言うことは“全て”がサトシを想ってのこと。
自分が持つ知識を伝えることで、少しでも役に立てば、という善意で話をしている。
だがそれは、サトシにしてみれば“大きなお世話”。
プレーするのは自分自身。そんなことを言われても、プレーするのはサトシ自身なのだ。
サトシは実に“素直”な子。
だから、みんなの話に耳を傾ける。
しかし、みんながみんな、同じ方向の話をするとは限らない。
最終的には“同じこと”を言っているのだが、話をそのまま聞くと、まるで“逆のこと”を言っているように聞こえる。
どんなに“凄い”プレーをしても、そこは小学校6年生。
「勝手なことを言う大人」に対してイラついてくる。
聞き流せないのだ。
一週間前、“苛立った”コウタ。
この日は“素直”に、コーチの話を聞いて、すぐに実践していた。
すぐに“結果”が出て2安打!
ピッチングでも、2イニングだが、チャンスをもらった。
先週の登板とはうって変わり、コウタらしい“一生懸命”なピッチングができていた。
ストライクが入らないのには“原因”がある。
打てないのには“理由”がある。
今の段階では調子云々よりも、原因・理由をしっかりと理解し、実践することが大切なんだと思う。
それを教えてくれるのは、やはりいつもそばにいる大人だと思う。
あるチームの父兄に、“成長するために大切なこと”を教えてもらった。
「素直さ」、「謙虚さ」、そして「朗らかさ」、だそうだ。
サトシにも、コウタにも、そしてフレンズの子たちにも“それ”があった。
だからこそ“強くなれた”んだと思う。
この日対戦した三ヶ日ジャガーズとフレンズは、新チームになったばかりの頃、同じレベルのチームだったように思う。
だが、“より”強くなったのはフレンズ。
子供たちが素直であり、謙虚であり、そして朗らかだったからかもしれない。
子供とはいえ、もうすぐ中学生。
大人への階段を登り始めている。
大人がどうあるべきか。
我々に与えられた“新たな課題”が見えた一日だったような気がする。