10月2日。
この日は、支部の“強豪”引佐ドリームジュニアとの練習試合。
JA杯の支部予選の準決勝、三ヶ日フレンズはこのチームに破れ、県大会出場を逃した。
1対2の惜敗…。
1点を先制したフレンズだが、終盤に逆転されゲームセット…。
コウタをはじめ、みんながこの敗戦で涙を流した。
(試合の詳細は「第42話/上を向いて歩こう!」にて)
が、最も大事なモノを得た試合でもあった。
「チームワーク」、「諦めない気持ち」
その後のフレンズの“色”となるモノをこの試合で得ることができた。
という訳で、この日の引佐ドリームジュニアとの練習試合は、チームの成長を見るうえで、これ以上ない相手と対戦する、ということになる。
が、この日、私自身は地元の慰安旅行のため、応援に行けない。
状況は、時折かかってくる電話とメールで確認するしかなかった。
平安神宮の前で蕎麦をすすっていると、メールが入った。
1試合目はレギュラー戦。
フレンズは“エース”サトシが先発し、県大会出場メンバーがずらりと並ぶ。
結果は1対0でサトシが“完封”!
展開も“あの”JA杯と全く同じ展開。
フレンズが1点をリードしたまま終盤へ。
“あの”時は終盤に2点を奪われ、涙を流したが、この日は集中を切らすことなく投げきり、見事に完封を果たした。
練習試合ながら、見事リベンジ達成!
その場にいたかのように目に浮かぶ。
鬼神のような形相で投げ込むサトシの姿が…。
その隣で大声でチームを鼓舞するコウタの姿が…。
グリップを高く構え、集中を高めるユウの姿が…。
ドロドロになりながらも、サトシの球を体をはって止めるコウヘイの姿が…。
そして、自分のフォームを取り戻そうと懸命にもがくエイスケの姿が…。
ずっと引きずっていたあまりにも悔しい敗戦。そんな過去をコイツらは自分自身で乗り越えた。
三十三間堂付近を京都駅に向かって歩いていると、次のメールが入った。
ジュニア戦、スーパージュニア戦を挟み、レギュラー戦の第2試合目へ突入するようだ。
ピッチャーはコウタ。
この試合では新しい試みが試され、新しい選手、新しいポジションが試された。
試合は引佐が1点を先制したらしい。
新幹線が米原を過ぎたあたりで、3回目のメールが届く。
5対4フレンズ逆転勝ち!
ビックリした私はすかさず電話で状況確認。
試合は引佐ドリームジュニアに4点を先制されるも、コウタが粘りのピッチングを見せると、徐々にフレンズペースに。
最後はコウタが逆転タイムリーを放ち、5対4で逆転勝ちをしたようだ。
2試合目はまさに「チームワーク」と「諦めない気持ち」で掴んだ勝利!
席に戻ると、車内販売を呼びとめビールを頼んだ。
秋の気配が漂う車窓を眺めながら、ビールで喉を潤した。
トンネルに入ると、窓には自分の顔が映し出された。
そこに写ったのは、笑顔の私。
試合後の引佐ドリームジュニアの首脳陣の発した言葉に答えが隠されていたようだ。
「まさか、フレンズに連敗するとは…」
このチームは“間違いなく”強くなっている!!