第40話/エースの持つ影響力

ワカさん

2011年05月05日 04:47

5月3日。

この日は新居球場にて、第9回JA共済トーナメント軟式学童野球静岡県大会の浜名湖支部予選が行われた。

フレンズの初戦の相手は白須賀。先の三ヶ日大会でも対戦し、7対2で勝っているが今回は果たして。

先行はフレンズ。
相手ピッチャーが上々の立ち上がりを見せ無得点。

フレンズの先発はエースのサトシ。


フォアボールのランナーを3塁まで進められるも無得点。サトシも上々の立ち上がり。

その後2回裏まで投手戦が続き、お互いノーヒットで0対0。

試合が動いたのは3回。


2番ショート“4年生”のコウスケが走者一掃のツーベース!

フレンズが3点を先制。

その裏、サトシが急に乱れた。
ヒットは打たれていないものの、フォアボールのランナーが進み2、3塁。試合のリズムが明らかにおかしい。なんとかツーアウトまでこぎつけたもののここでエラーが!

なんでもない3塁ゴロをキョウタロウが悪送球。

キョウタロウのエラーというよりもチームのエラー。とにかくリズムがおかしいのだ。

3対2とその差1点。

なおもランナーがたまる。

タイム!
監督がマウンドへ。


うなだれるサトシ。自分の不甲斐なさに腹が立ったのだろう。しかしどんな状況であれ“エース”は下を向いてはいけない。確かにマウンドは孤独。相手からはヤジが飛び、味方からは「打たせてけ」と言われる。そもそもストライクを入れるつもりで投げている。それができないから困っているのだ。なのに敵からのみならず、味方からも“心無い”声が届く。しかしそれがピッチャーというもの。
チームを一人で背負って投げる。その姿はチームに伝染する。いい時はチームに勇気を与え、悪い時にはチームを不安に陥れる。それが一際高いマウンドにいるピッチャーというもの。
不安になった時こそ見るのは上だ。絶対に下を向いてはいけない。後ろを振り返り、空を見よう。そこにはピッチャーをサポートするためにいる仲間と大きく青い空が広がっている。

なんとか後続を抑え3対2で3回を終えた。

どうしても追加点が欲しい。

4回のフレンズの攻撃はサトシから。ピッチングの不甲斐なさをバッターボックスに引きずるかのように、うつむいたままバッターボックスへと向かう。

試合のリズムは悪いまま。

するとコウタがサトシを呼び止めた。


何を話したのかはわからない。しかしサトシの顔には笑顔が戻った。

その直後、サトシのバットが火を噴く。


初球を思い切り叩くと打球はグングン伸びてセンターの頭上遥か上を通過。グランドの反対側まで到達する特大のホームラン!

待望の追加点!

その後サトシは完全に立ち直り相手を無得点に抑えると、チームにはリズムが戻り次々に加点。6対2でフレンズが勝利。

2回戦へとコマを進めた。

エースの振る舞いがチームに与える影響の大きさを再認識した試合でもあった。



しかし気になるのは“あの時”コウタはサトシに何を言ったのか…。サトシを立ち直させた一言とは…。

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