“最後”のタイムアウト。
第二セットも均衡した展開。
11対11からブロックアウトを取られ、
11対12。
さらにサービスエースを決められ、
11対13。
嫌な流れ。
大事な次のポイント。
相手のサーブをカットすると、
そこから長いラリーへ。
相手のエースがレフトから強烈なスパイクを打ち込むが、
三ヶ日中は必死で拾う。
相手が主導権を握ったラリーだったが、
最後はエースがクロスに強烈なスパイクを打ち込みポイントを奪取。
三ヶ日中らしく、粘りに粘って奪ったポイント。
流れが変わる予感がした。
12対13。
そしてこの先、伊東南中のスパイクが、まともにコートに落ちることがなくなった。
伊東南中はエースにボールを集め打開を図るが、
強烈なスパイクも、フェイントも、三ヶ日中が拾いまくる。
そしてセッターのツーアタックが決まり、
15対14。
遂に逆転した。
その後、伊東南中は選手交代などで流れを変えようとする。
だが、誰が打とうが、どんなコースへ打とうが、三ヶ日中のコートにボールがダイレクトに落ちることはなかった。
それでも終盤、三ヶ日中にミスが続き、
23対22と1点差に詰め寄られる。
するとここで、三ヶ日中が「タイムアウト」。
特に何かの指示をした訳ではなさそうだった。
先生の“勝負師”としての経験がタイムアウトを必要としていた。
このタイムアウトが、先生が三ヶ日中で取った“最後”のタイムアウトとなった。
タイムアウト後のプレーも、相手に主導権を握られた状態でのラリーに。
11回続いたラリーは、手に当てたものの、相手エースに決められ、
23対23。
同点になってしまった。
あと2点を、先に伊東南中に決められれば試合終了。
先生とはその時点でお別れ。
あと2点を三ヶ日中が先に奪えば、
先生とともにもう一セット戦える。
長いラリーの末、次のポイントは三ヶ日中が奪い、
セットポイント。
その後、サービスエースが決まり、25対23で第二セットは三ヶ日中が奪い返した。
これでセットカウントは1対1。
あと一セットで先生とはお別れ。
「教えてもらったことを、全て出しきってほしい」
勝敗などどうでもいい。
ただ、「私たちは先生にこれを教えてもらいました」というプレーを見せてほしかった。
それこそが、お世話になった先生への恩返し。
いつもより長い円陣を組んだ三ヶ日中がコートへと散らばった。
いよいよ“最後”のセットが始まる。
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