駆け巡る“あの言葉”。
落としたら終わりの二セット目。
凡ミスを繰り返し、相手エースに好き放題やられた一セット目と同じことをしたら、
その時点で“終わる”。
『東海大会出場』という目標は塵と消える。
東海大会初出場に沸く、大平中学校を眺めることになる。
ガックリと肩を落としたまま…。
そもそもそんなモノだったのか…。
どこよりも練習は厳しかったのではないか。
どこよりも要求が厳しかったのではないか。
どこよりも試合を重ねてきたのではないか。
どこよりも遠くまで試合にいったのではないか。
どこよりも地域の人たちが応援してくれるのではないか。
どこよりも先生が信じてくれたのではないか。
「必ずやれる」と。
彼女たちの対応力を信じ、二セット目が始まる。
一セット目とは違い、序盤戦は一進一退の攻防。
7対8と1点差で中盤へ。
するとここから、三ヶ日中が一気に崩れだす。
サーブカットミスから相手にチャンスボールを与え、失点を繰り返す…。
得点は9対15と、一気に“6点差”がついた…。
一向に“自分たちのプレー”ができない…。
会場全体に「大平中学校勝利!」の雰囲気が出始める。
我々の応援席からは、もっと大きな“そんな”雰囲気が出ていた…。
「終わった…」
誰もがその言葉を浮かべ、そして飲み込んだ。
だが一方で、勝利が目前のはずの大平中にミスが連発。
勝ちを意識してか、プレーが少し雑になっている感じがした。
そのミスに乗じて、三ヶ日中は徐々に“自分たちのバレー”を取り戻し始める。
ブロックで相手エースを止めると、三ヶ日中が連続得点を挙げ、終盤で同点に追いつく。
第二セットはデュースの末、26対24で三ヶ日中が奪った。
だが、内容はイマイチ。
一気に逆転できるところでミスが出てしまい、あわや「敗退」という場面が幾度となくあった。
しかしながら、これでセットカウント1対1のイーブン。
なんとか最終セットに持ち込むことができた。
このチームは“接戦に強い”という印象がある。
特に、1セット目をとられた後に2セット目を奪い返した試合で負けたのを見たことがない。
曖昧な記憶だが、フルセットで負けた印象が全くない。
稀に見る接戦。
だが、「フルセットに持ち込めば勝てる」。
そう信じて疑わなかった。
しかしながら、そうはいかなかった…。
最終セットは大平中のサーブで試合開始。
このセットもサーブで崩され、エースが止められ、一気に5点差をつけられる。
しかも、ここにきて相手エースが復活。
全く止められない…。
おまけに、ネットするかと思われた大平中のサーブが、まさかのネットイン…。
流れどころか、運までもが大平中に味方した。
6対13…。
7点もの差をつけられ、コートチェンジ…。
再び“あの”言葉が脳裏を駆け巡る。
「終わった…」
この時ばかりは思わず口からこぼれ出していた…。
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