先取点の攻防!

ワカさん

2013年10月14日 19:12

ノーアウト三塁。


ワンアウトとなり、バッターボックスにはサトシ。

先制点の期待が高まる。


ん!?スクイズ!?

こう見えてサトシは器用な選手。
先制点が欲しいベンチは積極的に動く。

追い込まれてからの選択は“バッティングスクイズ”!

が、アウトコースのスライダーが大きく外れたためバットに当てることができず、空振り三振…。
さらに、スクイズだったため、三塁ランナーのユウキは飛び出しており、最悪の“ゲッツー”…。
もう少し内側にボールが来てくれれば間違いなく成功していたはずだが、“偶然”ボールは大きくアウトコースへ外れた…。
なんたる不運…。

ノーアウト三塁の大チャンスは無得点に終わった…。

試合の流れは、大きく北星中に傾く…。



先発のマウンドにあがったのはコウタ。

先頭打者に対しての投球。
ポンポンとストライクを取りあっという間に追い込むと、勝負球を打ち上げ、サードの後ろにフラフラっと小フライが上がる。
誰しもがファールと思ったその力のない打球は、フェアゾーンぎりぎりの芝と土部分の境目に落ち、ファールゾーンへとコロコロと転がる…。

なんという不運なヒット…。

ノーアウトランナー二塁…。

三ヶ日中が大きなピンチを迎えることになった。

送りバントでランナーを進められ、ワンアウト三塁。
先制点が欲しいのは北星中も同じ。

スクイズを決められ1点を先制され、さらにそのバントされた球をコウタがハンブルし一塁もセーフ…。
先制点を奪われた上、さらにピンチが続く…。
ボークを取られランナーは二塁へ。
その後フォアボールでワンアウト一、二塁。
ツーアウトとなった後、またもやポップフライが上がる。

「よし!打ち取った!!」
と思ったのだが、これまた飛んだコースがよく、ショートの後ろへと“ポテン”と落ちた…。
ツーアウトのためにランナーはスタートをきっており“ホームイン”…。

2点を奪われた…。


三ヶ日中はスクイズを失敗し、北星中はスクイズ成功。

この初回の攻防が試合を大きく左右することになる。


2回表の三ヶ日中の攻撃。
ワンアウトから5番のコウダイが特大の三塁打!
これをきっかけに1点を返す。

“いけるぞ!!”

失点直後の得点。まだまだいける。


なんとか立ち直りたいコウタだが制球が定まらない…。
マウンドで何度も汗を拭い、繰り返しロージンに手をやる。
いつものようなテンポで投げることができない…。

そんなコウタへ追い打ちをかけるように、相手ベンチ、応援席からコウタへの野次が飛ぶ。

しかしその声はコウタの耳には一切届いていない。

ボタボタと流れ落ちる汗を拭い、サトシの構えるミットへボールを投げる。

この時すでに高熱に襲われていた…。


四球でランナーを出すものの、バックの守りに助けられなんとかゼロに抑える。

4回が終わり依然1対2。
5回にはコウタに打順が回る。
十中八九“代打”。

良く投げた。
なんとか試合を作ることができた。
後はみんなに任せよう。

そう思っていると、なんとコウタがそのまま打席に入った。

「!」

もはや限界…。


5回裏。
ボタボタと汗を垂らしながら、コウタがマウンドへ向かった。






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