Growing up!

ワカさん

2013年06月04日 16:28

「オレ、少し球速くなった!」

最近コウタがよく口にするのだが、なかなかそれを実感することがない。

週末にキャッチボールをしようと帰宅を待つのだが、帰ってくる頃には日がドップリと沈んでおり、
なかなかキャッチボールをする機会に恵まれない。
もちろん試合に出るわけでもないので、観る機会もない。
成長を感じられるのは、コウタが発する言葉からしかないのが現状だった。


5月25日。

愛知県のチームを招いての練習試合が三ヶ日中学校で行われた。

安定感を増してきた投手陣に目じりをさげ、なかなか繋がらない打線の組み替えを興味深く観させてもらった。
2試合行われた練習試合はともに勝利。

そして3試合目。
特別ルール(ノーアウト満塁)を7回繰り返す形での練習試合が行われた。
中学野球の場合、好投手同士の対戦となるとサドンデスの特別ルールになることが多い。
好投手がいる三ヶ日中学はこの特別ルールで敗れることが多かったため、特別にこの形でゲームが行われることになったようだ。
1イニングごとに先攻後攻が入れ替わり、1イニングの間に1点でも多くとったチームが勝ちとなる。
2イニングが終了するたびに数分間のミーティングタイムがとられた。
練習試合というよりも“実戦形式の練習”といった方がふさわしいかもしれない。

さまざまな得点パターンを試し、チームに適した作戦を模索しながら最後の回となる7回に入った。
先攻の三ヶ日中は試した作戦がハマらず無得点。
1点でも奪われればこのイニングは“負け”となる。

そんな場面でマウンドに向かったのはコウタだった。


“実戦形式の練習”とはいえ、対外チームに対しマウンドに上がるのは2ヶ月ぶり。

誰も気にとめない“実戦形式の練習”でのマウンド。
それでもコウタにとっては数少ないアピールの場。
わずかながらでも成長している姿をみんなに見せたい。

再度状況を確認すると、ノーアウト満塁。
1点取られればその時点でゲームセット。
練習試合もその時点で終わる。


「プレイボール!」
審判の合図でゲームが始まった。

キャッチャーのサインにうなずくとストレートを投げ込み、「ストライク!」

そして2球目。
再びストレートを投げると、ここでスクイズ!

ボールは3塁方向へと転がる。

マウンドを駆け降りるコウタ。

グローブの先にボールを引っ掛け、そのままキャッチャーへトス。

が、「セーフ!」

練習試合は終わった。


久しぶりにマウンドにあがったコウタが投じた球数は“たった”の2球。
たった2球だったが、その2球共にストライク。
さらには“グラブトス”までして見せた。

ともに1年前では考えられないプレー。
球も“少し”速くなっていた。

他の子よりも歩みは遅いかもしれない。
しかしながら、ゆ~くりではあるが、確かに成長していた。




チームとしては残す大会があと“ひとつ”となった。

新チームになってから、できるだけ多くの試合に顔を出したつもりだが、中学野球のレギュレーションが複雑すぎ、大会の状況がイマイチ把握しきれずにいる。
それでもこれだけはわかる。
最後の大会は“中体連”。
一度負ければその時点で中学野球は終了。3年生はそのまま卒部となる。

目指すは“山の頂”。

落ち度のない準備で、謙虚な姿勢で、相手に敬意を払ったうえで、自信を持って戦い抜いて欲しい。

自慢の先輩たちの戦う姿を、コウタとともに、できるだけ多くこの目に焼き付けたいと思う。

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